愛国はてな様と左の在特会化現象
ネット上には、「反日マスコミの偏向報道によって、日本国民は騙されてきた」と言う人たちが多い。そして、「ネットの真実」に目覚めた日本国民は、反日マスコミにはもう騙されないなどと言っている。これに対しては「ネットde真実」などと言われて2ちゃんねるでの現象がよく持ち出されながら、批判されてきた。ここでは、それとは逆の方向性でありながら「ネットの真実」に目覚めた「はてなde真実」のはてなの言説について書いてみる。
「ネットの真実」に目覚めて活動をしている団体に、在日特権を許さない市民の会がある。この在特会への批判をしないといけないことと、反在特会の問題を無問題化することは別のことだ。はてなの反在特会の言説で、まるで在特会を批判する者たちの足を引っ張るために言っているのではないのかと思われるものもある。
穢れてない日の丸なんてないのに(外国人排斥を許さない6・13緊急行動)【追記あり】 - planet カラダン
https://d.hatena.ne.jp/Romance/20090614#p1
「日の丸を穢すな」に対抗して「日の丸を穢すぞー」「日の丸はunkoだー」と言っている人に賛同して声を合わせるなどしつつ。
在特会を批判して外国人の人権を訴えるデモで、「日の丸はウンコ」と叫んでいる。日の丸のことで言えば、「日の丸の先に見ているもの」で考え方に違いがあるのは当たり前だし、外国人の人権デモで「日の丸はウンコ」と叫ぶのは、実は外国人の人権なんてどうでもよくて、単に自らの不満の捌け口に在特会批判を利用しながら外国人の人権と言ってデモをしていると思われるのも無理はない。
はてなは、「左の在特会」を生み出す土壌がある。在特会は、今までの保守派を口先だけで行動しない「奇麗事保守」であるとして批判している。それに対して、今までの左派を口先だけで行動しない「奇麗事左翼」であるとして批判して、外国人の人権デモでも「日の丸はウンコ」などと言いながら行動する左翼になるのなら、それは「左の在特会」化する。
はてなの在特会批判で、在特会の批判者が実は在特化していることもよく見る。
どこまで落ちる「愛国者」の漢字力 - dj19の日記
https://d.hatena.ne.jp/dj19/20100115/p1
外国人排斥反対などと言って単純に在特会を批判する者たちの主張は、在特会には外国人もいることを考えていない。在特会の外国人が書いたもので漢字の間違いがあったり、日本語が不自由な在特会の外国人を見て、「あいつらは漢字力がないし、日本語が不自由だ」と言って批判するのだろうか。その思考が外国人排斥につながっていることにすら気付いていない。
はてなには、世論と大きく乖離した実に不思議な言語空間がある。政治思想で言えば、社会民主党や日本共産党に同調する記事がしばしば注目を集めて、はてなブックマークの人気エントリーに入る。日本共産党の『しんぶん赤旗』の記事がよく人気エントリーに入るのは、その象徴的なことだ。社民党と共産党という明白な既成政党が人権を守る党であるとして支持するのなら、ネットで言われる「中二病」であると言うしかない。日本で左派政党に支持が集まらない原因を作っている社民党と共産党に、左派であると自覚(誤認)している者たちが支持する日本は「島国左翼」の夢想にとりつかれている。
45回衆院選の前には貧困層問題がかなり大きく報道されていたのに、社民党と共産党が貧困層の受け皿にはなりえなかったところに、この二つの既成政党の明らかな限界が見える。45回衆院選の前哨戦と言われた東京都議選では、社民党は0議席で、共産党は議席を5議席も減らして1桁になった。
共産党はその国会議員が「確かな野党」と言いながら演説していることからも明らかなように、そもそも与党になる気がないし、与党にはなれないと分かっている。日本の戦後の政党史を学べば必ず出てくる「極左冒険主義」のことを考えても、共産党にも国民的支持が得られる土壌がない。
その社民党と共産党に同調する記事が人気エントリーによく入るはてなは、政治思想的には世論と大きく乖離している。そのはてなで、ニコニコ動画のネット世論調査の偏向性や特殊性を批判した記事が人気エントリーに入って何度も注目を集めている。はてなブックマークの検索で、「ニコ割アンケート」で検索すると記事が出てくる。はてなの政治思想の特殊な偏向性は無視して、「ニコニコ動画の政治思想は偏向している!」と主張する不思議な言説がはてなにはある。
特に、45回衆院選でのニコニコ動画の調査結果を元に言われることが多い。
その45回衆院選の前哨戦と言われた東京都議選では、社民党のサイトに以下の記述がある。
社民党OfficialWeb┃声明・談話┃2009年┃東京都議会議員選挙の結果について
https://www5.sdp.or.jp/comment/2009/dannwa090713.htm
2009年7月12日
東京都議会議員選挙の結果について
社会民主党選挙対策委員長
渕上貞雄
本日投開票された東京都議会議員選挙で、社民党が2名の候補者を擁立して闘った。総選挙の前哨戦ともいうべき首都の重要な選挙であったにもかかわらず、8年ぶりの議席を回復することはできなかった。ご支援をしていただいた都民のご期待に添えなかったことをお詫びしたい。
社民党は、今回の選挙の内容を精査し、その反省と教訓を踏まえて、来るべき解散総選挙での勝利をめざし奮闘する。
以上
東京都議選では、社民党は議席を取れなかった。共産党も5議席も減らして1桁の8議席になった。45回衆院選では、社民党の得票率は4.27%で共産党の得票率は7.03%しかない。
前哨戦と言われた東京都議選と45回衆院選での結果を見ると、自民党以前の問題として、社民党と共産党は国民の支持が得られない政党であるという現実がある。実際の世論調査とネットの世論調査の乖離を是正するのならば、東京都議選で社民党は1議席も取れないと言わないといけないし、共産党は議席を大きく失うと言わないといけない。45回衆院選では社民党と共産党の得票率の少なさを言わないといけない。
はてなでよく偏向していると言われるニコニコ動画のネット世論調査の「内閣支持率調査 2009/1/28」では、麻生内閣「不支持」41.2%、「支持」30.2%で、不支持のほうが上回っていた。
ネット世論調査「内閣支持率調査 2009/1/28」 2009/01/28
https://www.nicovideo.jp/enquete/political/nm5973257/detail
「内閣支持率調査 2009/6/18」でも、麻生内閣支持33.1%、不支持35.0%で、不支持のほうが上回っていた。
ネット世論調査「内閣支持率調査 2009/6/18」 2009/06/18
https://www.nicovideo.jp/enquete/political/nm7377272/detail
ニコニコ動画でも実際の世論調査と同じで、麻生内閣の不支持のほうが多いということは一致していたわけだ。
さて、はてなで実際の世論調査と合わせるにはどうすればいいのか。実際の世論調査の結果を見ると、自らの思想や心情がどうであれ、コミュニティサイトでは社民党と共産党に同調する記事よりも、自民党に同調する記事のほうが多くなくてはいけない。はてなでニコニコ動画の政治思想が偏向していると言っている者たちは、その偏向性の是正の要求は、はてなに跳ね返ってくるという自覚があって言っているのだろうか。
今現在の政党支持率の調査では、ネットの世論調査よりも各新聞社やテレビの世論調査のほうが信頼性があるのは言うまでもない。ニコニコ動画よりも新聞社の調査のほうが信頼できるし、はてなの言語空間よりも新聞社の調査のほうが信頼性がある。しかし、それではネットに限ればどこが信頼できるのだろうかという問題がある。
はてなで政治思想が批判されているニコニコ動画とはてなの会員数を比較してみる。はてなとニコニコ動画の会員数には、明らかな違いがある。はてなの会員数は、100万の前半しかない。以下の2010年の記事には、はてなの会員数は110万人であると書いている。
puzzlehouse blog: 外苑前広告会議06「はてなで学ぶソーシャルメディアと次世代広告」
https://www.puzzle-inc.com/~puzzlehouse/blog/2010/01/06.php
以下の2009年の記事にもあるように、はてなの会員数は2001年7月からやっとのことで100万人になった。
はてな、総ユーザー数が100万を突破 - ITmedia News
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/0905/07/news073.html
以下の記事には、「2010年4月末時点のニコニコ動画の会員構成は、登録会員が1,670万人」と書いている。はてなの100万台の会員数よりも、ニコニコ動画の会員数のほうが遥かに多い。
ニコニコ動画が四半期黒字化に──ニコ生人気でプレミアム会員が増加 | ネット | マイコミジャーナル
https://journal.mycom.co.jp/news/2010/05/13/064/index.html
以下の記事には、「ニコニコ動画プレミアム会員数が5月14日、21時30分頃に80万人を突破」したことが書いてある。はてなブックマークプラスは月額280ポイントなので、150万人がはてなブックマークプラスに登録しているような状況だ。はてなでは考えられないことが、ニコニコ動画では起こっている。
プレミアム会員『80万人』突破しました!
https://blog.nicovideo.jp/niconews/2010/05/007513.html
このまま行くと、ニコニコ動画のプレミアム会員数がはてなの総会員数を上回るのではないのか。総会員数ではなく、有料会員数が総会員数を上回るのなら、ニコニコ動画とはてなではネット上での認知度でもさらに相当の開きがでてくる。テレビのタレントや著名な評論家や政治家などもニコニコ生放送に度々出演しているので、ニコニコ動画とはてなでは、ますます認知度に開きが出ている。
はてなは政治的に非常に偏向していると自覚して、その偏向性の批判をはねのけて「公平中立など糞食らえ!」という言語空間で行けばいいのに、はてなのあまりに世論と乖離した言語空間を無視して、はてなよりは明らかに実際の世論と近接性があるニコニコ動画の政治思想を批判するのだから、はてな村で「はてなには真実がある!」と勘違いして叫んでいるようだ。
そもそも、「公平中立」な思想を持つ人間などいない。あらゆる個々の人間や人の集団は思想的に偏っているし、それはこのサイトに書いていることも例外ではない。「公平中立」というその思想が問題を引き起こしてきたのは、現代思想から考えても明らかだ。その自らの思想的に際立って世論とは大きく乖離した偏りは批判せずに、ニコニコ動画などの他の思想的な偏りを批判するはてなの言説は偽善者の集まりでしかない。
民主党の支持率が他の調査よりも特に高かったフジテレビの『新報道2001』でさえも、参院選の投票先で自民党が民主党を上回った今の状況では、自民党支持者による自民党の応援記事がはてなの人気エントリーになり、それをはてなブックマーカーがコメントで応援するようになる状況がよく見られるようになるのが世論との一致という状況だ。ニコニコ動画の政治思想は偏向していると言うのならば、ニコニコ動画よりももっと偏向しているはてなは、自民党支持者の記事がもっと人気エントリーに入らないといけなくなる。
以下の記事では、はてなは脱ITを目指すと言っていた。現在のはてなのトップページの最新人気記事のカテゴリには、ITが入っていない。
近藤社長「未熟だったと思う」 はてなが目指す“脱IT系”
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/0812/24/news044.html
有名なコミュニティサイトには大体において得意分野があるが、はてなは得意分野のITを脱ITにしてしまった。デジカメならば価格.com、化粧品なら@cosme、SNSはmixi、携帯のSNSならばモバゲータウンやGREE、料理ならばクックパッドとそれぞれに特徴があって強みがある。アクセス数が稼げる芸能人は、軒並みアメーバブログに行った。その得意分野を持つサイトにはてながその分野で勝負しようとしても、とても無理で勝てるわけがない。
Twitterも出てきて、はてなブックマークのアクセス数の導線としての強みも薄れるのならば、はてなは今後どうなるのだろうか。はてなには何でもあるという路線で行くのならば、それこそ何でもある2ちゃんねるにも勝ち目がない。
ニコニコ動画の会員数と比べても特に際立つが、はてなは会員数が本当に伸びない。しかし、はてなはユニークユーザー数は多い。これは、はてなのページは見てもそれで会員になる気が全くない者だらけで、会員になるだけの魅力がはてなにはないということだ。
はてなは脱ITで一般化する路線で進むのなら、ニコニコ動画よりも遥かに偏っているはてなの政治思想は一般的に受け入れられないので、はてなの会員数の伸び悩みの原因になる。はてなはうごメモはてなで任天堂が協力してくれたのに、それでも会員数が伸びない。はてなは、はてなキーワードに何も登録していないのに、検索の一番目に登録されるようにするなどのスパム行為をしていたような手法で会員数を伸ばすつもりだろうか。
はてなはITの強みと、思いっきり世論と乖離して左の在特会のような政治思想で「はてなには真実がある!」と思い込み、そんなはてなで国をよくしようと主張する左の国士様のような愛国はてな様たちを囲い込む路線に突き進んでいけば面白い。実際に、そういう言説がはてなには見られるから、そんなはてなにははてな的な変な「魅力」があると思うのだが。
2010年6月掲載