アメリカのウーマンズマーチ
2017年1月21日にアメリカで行われたWomen's March ウーマンズマーチ 女の大行進が行われた。これを称賛する声があるが、違和感がかなりある行進だった。この行進の中で、「私の体は私が選ぶ」と言って、女性の体の自己決定権を叫んでいた。これに何も疑問も思わないでその通りと流すことが、新しいフェミニズムなのか?
この行進の光景を見て、またフェミニズムが問題を起こしていると瞬時に思った。フェミニズムの大問題の代表の一つが、優生思想による障害者差別である。女性差別で女性の自己決定権を優先して、その女性たちが、障害者殺しに大いに加担して断種を支持してきたのがフェミニズムの歴史だ。日本でも、フェミニズムの旗手であった平塚らいてうが断種を支持した。
しかし、女性差別反対と言って女性の塊になると、結局、多数派の健常者の女性の権利が最優先されてしまう。そこで障害者問題を持ち込むのは女性間を分断されると言われて、拒否されてきた長い歴史は、今でも続いていると思ったのが、自称新フェミニズムのウィメンズマーチの行進だった。女性の自己決定権の肯定が障害者殺しに繋がってはならないくらい言えないのだろうか?
行進で演説していたフェミニストのグロリア・スタイネムは、バーニー・サンダースを支持する若年女性は若年男性にモテたいからなどと言って、当然に批判されていたが、そんなグロリア・スタイネムがアメリカで著名なフェミニストでウーマンズマーチで女性の団結を訴えていたわけだ。
この行進での「Women's Rights are Human Rights.女性の人権を守ることは全ての人権を守ることに等しい」だが、では、その女性とは誰のことなのか。行進で私の体は私が決めると素朴に信じて疑わない女たちは、障害者のことなど考えてもいない。ヒラリー対サンダースの民主党選の時には、フェミニストたちは女だからという理由でヒラリーを応援していた。
ヒラリーは、結果的に黒人男性に的を絞った薬物逮捕を進めてきたレイシストで、同性愛を否定することを言っていたし、軍需産業べったりなのに、フェミニストたちはヒラリーを応援してきた。アメリカでできて日本でなぜできないのか?と言っているが、アメリカのフェミニストがそんなに素晴らしいのか?サンダースより女だからヒラリーを熱烈に応援してきたのに?
アメリカには非民間の公的国民皆保険がない。これは、民主党支持者も反対してきたからだ。日本で国民皆保険ができたのは、日本の戦後の政権の中でも保守の代表として言われる岸内閣だ。アメリカよりも遥か前に国民皆保険ができて、しかも、その政権は保守の代表の政権であった。アメリカから見ると、そんな日本は極左なのか?実際に、アメリカから見ると日本は極左に見えるが、だからと言って問題なわけはなく、国民皆保険があるのはアメリカよりも非常に優れているからだ。
アメリカで分断をやめようと言って、弱者と団結しようと言ってきたフェミニストたちは、なぜ、国民皆保険を実現させなかったのか?フェミニストだからリベラルだし、民主党だからリベラルなんだろう?民主党は今まで何度も政権の座に着いているが、日本並の国民皆保険などついに実現できなかった。結局、アメリカのリベラルとか、フェミニストとかは日本から見ると極右ではないのか?
ウーマンズマーチで女たちの団結と言っても、最初に書いたように、素朴な健常主義の女たちが叫んでいるし、白人女性と黒人女性などの有色女性間にある賃金格差などには声を上げないで女たちよ団結しようだし、弱者救済に非常に実行力がある非民間の公的な国民皆保険など実現する気もないし、単なる口先だけの女性の権利運動がまた始まるのだろうか?
ウーマンズ・マーチ・ワシントン(WMW)のウーマンズ・マーチ・グローバル(WMG)の4つの目標のH.E.R.S.は「健康(Health)」、「経済的安定(Economic Security)」、「代表(Representation)」「安全(Safety)」の頭文字だ。これで、世界の女性が1つになるように言っている。
その中に健康があるが、非民間の公的国民皆保険はフェミニストたちも反対してきたことをどう思っているのか?その中に人種の大項目がないので、再び白人の力を強めようとするフェミニズムに逆戻りだ。さらには、1つの項目として障害性を入れるべきだったのにないので、健常女性最優先になる。
結局、このウーマンズマーチから最も力を得るのは、恵まれた健常白人女性階層である。白人女性の白人利権を批判することが、ますますタブーになるのだろうか?トランプを利用して、白人のフェミニストが再び、白人利権とフェミニズムを都合よく使ってのし上がろうとしているわけだ。
そのトランプだが、白人女性がトランプを大統領にしたにしたで書いたが、トランプを勝利に導いたのは白人女性という非常に多くの女性たちである。それなのに、トランプを許さないと言って女たちよ1つに団結して闘おうと言って、白人女性と有色人種は1つで闘うべきという姿勢だ。白人女性の白人利権はひとまず置いておいて、女性の問題で闘おうなど、戦前に行ってきたことからの繰り返しではないのか?
マドンナも演説していたが、マドンナは黒人差別発言をしてレイシストと叩かれまくったことがあった。
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2017年5月掲載
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