北欧の男女の自殺率の格差問題

ウィキペディアに先進国の項目がある。そこでのアメリカ中央情報局 (CIA)のThe World Fact Bookによる先進国は、以下の国。

アイスランド、アイルランド、アメリカ合衆国、アンドラ、イギリス、イスラエル、イタリア、オーストラリア、オーストリア、オランダ、カナダ、ギリシャ、サンマリノ、スイス、スウェーデン、スペイン、デンマーク、ドイツ、トルコ、日本、ニュージーランド、ノルウェー、バミューダ諸島、フィンランド、フランス、ベルギー、ポルトガル、マルタ、南アフリカ共和国、モナコ、リヒテンシュタイン、ルクセンブルク、ローマ教皇庁。

世界各国の男女別自殺率の推移(WHO)で、上記の先進国にあたる北欧5ヶ国のアイスランド、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランドと日本の男女自殺率格差の推移は、以下の通り。

アイスランドの1955年から2004年までの10万人当たりの男女別自殺率。

アイスランドの男女自殺率格差
年代 男性 女性 男女格差
1955年 22.5 6.3 約3.57倍
1960年 9.2 6.8 約1.35倍
1965年 19.5 3.2 約6.09倍
1971年 8.6 2 4.3倍
1975年 12.7 7.4 約1.72倍
1980年 12.2 8.8 約1.39倍
1985年 20.6 5.8 約3.55倍
1990年 27.4 3.9 約7.03倍
1995年 16.4 3.8 約4.32倍
2000年 29.8 5.7 約5.23倍
2004年 17.7 6.2 約2.85倍

スウェーデンの1950年から2002年までの10万人当たりの男女別自殺率。

スウェーデンの男女自殺率格差
年代 男性 女性 男女格差
1950年 22.7 6.9 約3.29倍
1955年 27.2 8.5 3.2倍
1960年 26.3 8.6 約3.06倍
1965年 27.7 10.1 約2.74倍
1970年 31.3 13.2 2.37倍
1975年 27.7 11.2 約2.47倍
1980年 27.6 11.3 約2.44倍
1985年 25.0 11.5 約2.17倍
1990年 24.1 10.4 約2.32倍
1995年 21.5 9.2 約2.34倍
2000年 18.3 7.3 約2.51倍
2002年 19.5 7.1 約2.75倍

デンマークの1950年から2001年までの10万人当たりの男女別自殺率。

デンマークの男女の自殺率格差
年代 男性 女性 男女格差
1950年 31.7 15.0 約2.11倍
1955年 32.0 14.8 約2.16倍
1960年 27.2 13.6 2倍
1965年 24.0 14.7 約1.63倍
1970年 27.4 15.7 約1.74倍
1975年 29.9 18.4 約1.62倍
1980年 41.1 22.3 約1.84倍
1985年 35.1 20.6 約2.17倍
1990年 32.2 16.3 約1.7倍
1995年 24.2 11.2 約2.16倍
2000年 20.2 7.2 約2.8倍
2001年 19.2 8.1 約2.37倍

ノルウェーの1955年から2004年までの10万人当たりの男女別自殺率。

ノルウェーの男女自殺率格差
年代 男性 女性 男女格差
1955年 11.7 3.4 約3.44倍
1960年 10.4 2.5 4.16倍
1965年 11.8 3.6 約3.28倍
1970年 11.8 5.0 約2.36倍
1975年 14.2 5.6 約2.54倍
1980年 18.3 6.6 約2.77倍
1985年 20.8 7.4 約2.81倍
1990年 23.3 8.0 約2.91倍
1995年 19.1 6.2 約3.08倍
2000年 18.5 5.8 約3.19倍
2004年 15.8 7.3 約2.16倍

フィンランドの1950年から2004年までの10万人当たりの男女別自殺率。

フィンランドの男女自殺率格差
年代 男性 女性 男女格差
1950年 26.5 5.4 約4.91倍
1955年 32.4 8.5 約3.81倍
1960年 32.7 8.9 約3.67倍
1965年 32.2 8.1 約3.97倍
1970年 34.4 9.2 約3.74倍
1975年 40.6 10.4 約3.9倍
1980年 41.6 10.4 4倍
1985年 40.4 9.8 約4.12倍
1990年 49.3 12.4 約3.98倍
1995年 43.4 11.8 約3.68倍
2000年 34.6 10.9 約3.17倍
2004年 31.7 9.4 約3.37倍

日本の1950年から2004年までの10万人当たりの男女別自殺率。

日本の男女自殺率格差
年代 男性 女性 男女格差
1950年 24.0 15.3 約1.57倍
1955年 31.5 19.0 約1.66倍
1960年 25.1 18.1 約1.39倍
1965年 17.3 12.2 約1.42倍
1970年 17.2 13.2 約1.3倍
1975年 21.4 14.6 約1.46倍
1980年 22.2 13.1 約1.69倍
1985年 26.0 13.1 約1.98倍
1990年 20.4 12.4 約1.64倍
1995年 23.4 11.3 約2.07倍
2000年 35.2 13.4 約2.63倍
2004年 35.6 12.8 約2.78倍

これらの統計で最も最新の男女自殺率格差をあげると、アイスランドの2004年が約2.85倍、スウェーデンの2002年が約2.75倍、デンマークの2001年が約2.37倍、ノルウェーの2004年が約2.16倍、フィンランドの2004年が約3.37倍、日本の2004年が約2.78倍だ。デンマークとノルウェーは日本よりも男女自殺率格差が小さく、アイスランドとスウェーデンは、日本とほぼ同じだ。フィンランドだけが例外だ。

男女の自殺率格差問題と日本女性の自殺率にある詫摩雅子のように、先進国では男女の自殺率格差が日本以上に離れていると言う者がいる。先進国の男女の自殺率格差は日本以上というのなら、北欧諸国は先進国ではないのか。

ジェンダーが関連することで北欧諸国は毎回のように出てくるが、都合が悪くなると北欧諸国を除外する詫摩雅子のような者がいる。普段から北欧諸国をジェンダー問題の先進国とするのに、都合が悪くなるとその北欧諸国を除外する有様だ。

北欧諸国の男女の自殺率格差を見ると、フィンランドの1990年の男性が49.3、女性が12.4、男女格差が約3.98倍、1995年の男性が43.4、女性が11.8、男女格差が約3.68倍は、男女の自殺率の高さと男女格差の開きからいって、自殺率の統計上で最悪の部類に入るだろう。

デンマークは、1990年までは女性の自殺率が高く、特に1980年と1985年は20を超えている。世界各国の男女別自殺率の推移(WHO)での日本女性の自殺率を見る限りは、20を超えている年はない。デンマークの女性の自殺率の高さは、日本女性以上だった。

アイスランドは自殺率の推移が非常に不規則で、安定した国のある姿ではないと言えるだろう。

ノルウェーは男女平等の筆頭に挙げられることが多い国だが、女性の自殺率の推移を見ると、年々少しづつ高くなっている国だ。1955年、1960年、1965年に比べると、明らかに女性の自殺率が高くなっている。日本の場合には、曲がりなりにも少しづつは女性の自殺率が減ってきているのとは対照的だ。

反省の女性学とはに、当サイトの反省の女性学の趣旨を書いています。

2008年1月掲載



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