ネットde小沢信者の特異性

2010年10月24日に「10・24検察・検審を糾弾するデモ」があった。主催者は「権力とマスコミの横暴に抵抗する国民の会」で、12時15分から1時間くらいのデモだった。このデモは、検察、検察審査会を糾弾、権力とマスコミの横暴を批判するデモと表向きには言いながら、実際には小沢一郎支持者のデモであることは事前にネット上で知られていた。そのため、どういうデモになるかは予想はしていたが、予想以上に失笑を買うデモになった。

デモのライブ中継があったのでその動画を見ていたが、ネットde小沢信者の者たちがネット上で言うことのそのままのプラカードを掲げていた。「真実を報道する日刊ゲンダイ、週刊朝日」なるプラカードを堂々と掲げて、デモ行進をしていた。「マスコミ解体」という文字も見えた。「報道番組、ワイドショーは小沢さんを苛めないで」というような横断幕もあった。『日刊ゲンダイ』は小沢一郎機関紙と言ってもいいようなことばかりの記事を載せているが、このデモに参加した小沢信者の者たちにとっては、その記事は真実の報道であるのだろう。

そして、ネットde真実の者たちがよく言う例の文言を堂々と言いながらデモ行進をしていた。その文言は、「マスコミは嘘の報道をやめろ!」「マスコミの嘘に騙されるな!」だった。マスコミは嘘の報道をやめろと言いながら『日刊ゲンダイ』は真実の報道をしていると言うのだから、その思考回路はあまりに不思議な構造をしている。

小沢一郎と検察の問題ならば、鳥越俊太郎を出すまでもなく与党の民主党内にも検察批判をしている者たちがいくらでもいる。与党の国会議員が批判しているのに国家権力に対するデモをしていると勘違いするのも失笑ものだし、マスゴミの捏造報道なることを言ってもそのメディアでも検察批判がされている。国家権力やメディア批判への本当のデモは、この小沢一郎と検察のような生易しいものではない。

このデモは、若い世代の参加が非常に少なかったのも特徴だった。検察に対するデモと表向きには言いながら、実際にはネットde小沢信者や『日刊ゲンダイ』信者が集まって、「小沢一郎は無実だ!」と言いながら、「おっざっわ!おっざっわ!」と叫ぶ小沢信者のデモだった。市民のデモではなく特異な集団によるデモなのだが、デモをした者たちは本当の市民団体によるデモであると言っている。

ネットde小沢信者の特異性をあらわしたものがある。

ネット市民の会なるものによる「闘いはこれから」という小沢一郎の電子冊子は音楽が流れて、まるで新興宗教の教祖と小沢一郎教の教徒のようだ。

闘いはこれから

http://issuu.com/mariameguro/docs/fightozawa-s

さらには、「マスメディアに汚染された人たちへのチラシ」のための電子チラシもある。「あなたは聴いただろうか、身をふりしぼったあの演説を」から始まる。ここにも、ネット市民の会とある。

小沢一郎は魂の演説をする政治家だ

http://issuu.com/mariameguro/docs/ozawa-chirashi

ネットde小沢信者は「主権者国民レジスタンス戦線」なることを言って、「主権者国民対悪徳ペンタゴン」なることを言っている。そして、米国隷属派と戦わなければならないと言っている。これは、実に不思議なことだ。小沢一郎が自民党にいた時に、米国の言いなりになっていたからだ。ネットde小沢信者は『年次改革要望書』を考えると小沢一郎を支持するなど意味の分からないことを言っているが、その『年次改革要望書』への道筋を作ったのは自民党で幹事長までした小沢一郎である。

そして、このデモが終わったらまた例の如く、ネットde小沢信者が「このデモを報道しないマスゴミはおかしい」などと言い出した。しかし、冷静に考えれば、こんな特異なデモを真面目に報道すれば打撃を受けるのはネットde小沢信者である。他のデモとは違って本当の市民参加によるデモなどと参加者は言っていたが、「真実の報道をする日刊ゲンダイ」なるプラカードを掲げたデモが普通の市民によるデモなのか。本当の普通の市民が、「真実の報道をする日刊ゲンダイ」という御旗のもとに集まるのか。

ネットde小沢信者はネット上で極端な思想に浴びすぎて、何が一般市民の考えなのかも分からなくなっているのだろう。新聞やテレビによる小沢一郎の支持率調査などもマスゴミの捏造だと言って、『日刊ゲンダイ』こそが正しいと言うのだからどうしようもない。ネットde小沢信者は、メディアがネットde小沢信者の実態やその新興宗教ぶりを詳しく報道しないのだから、むしろ、ネットde小沢信者はメディアに感謝するべきだ。その特異性が報道されると、普通の市民は誰も今回のようなネットde小沢信者のデモに参加しなくなる。

その他、プラカードに書かれていたことは、「小沢一郎に日本を託そう」「小沢一郎は日本の至宝」など。主催者は「権力とマスコミの横暴に抵抗する国民の会」ではなく、「ネットde小沢信者の会」に名称を変更したらどうか。


参考になる資料として、小沢一郎がアメリカの言いなりになったことは、以下の『年次改革要望書』に関する2005年11月7日の『産経新聞』の記事にも書いている(太字強調は引用者)。

石原慎太郎エッセイ『日本よ』

「内政への干渉を排せ」

http://www.sensenfukoku.net/mailmagazine/no41.html

 その場でアメリカが持ち出した要求は二百数十項目にも及ぶ内容で、中には日本の実情を無視した荒唐無稽(むけい)なものも数多くあった。それに対して私たち有志の勉強会「黎明の会」は日本としての対案を百四十項目作って相手にぶつけさせようとしたが、その提案を申し込んだ自民党の最高議決機関の総務会を小沢幹事長は会期末に意図的に三度続けて開かずに封殺した。仕方なしに他に場所をもうけ、外国人記者クラブでもその案を発表したが、当時の日経連会長の鈴木永二さんにこんな良い案の発表が遅すぎると叱(しか)られたものだった。

2010年10月掲載


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