クロ現「助けてと言えなくて~女性たちに何が~」

2015年11月24日(火)に、NHKのクローズアップ現代「助けてと言えなくて~女性たちに何が~」があったが、非常に偏向した番組で問題のある演出をしていた。平成26年の東京消防庁の自殺未遂の統計を出して、20代、30代、40代で女性のほうが多いデータを出していた。ここから話を始めて、女性の自殺がどれだけ深刻かを問題にした番組だった。そのデータでは男女比を出していたので、男性よりも女性のほうが深刻な自殺問題という間違った印象を植え付ける構成になっていた。

男女の自殺率格差とジェンダー:女性が周縁・他者になる理由に書いたこと(よく言われる男らしさこそ男性の自殺率の原因という俗説を統計を出して批判している)だが、今現代でも、自殺率は一貫して男性のほうが女性よりもかなり多い。自殺未遂の男女比の統計を出して、女性のほうが深刻な自殺問題という印象を与える番組をするNHKのクローズアップ現代は、さすがにやらせが問題になった番組だ。女性のほうが自殺未遂が多いのは、男性よりも社会から助けられたいというメッセージを発する傾向があるという類のことは以前から言われていることだ。

そして、実際に、この番組でやっていた救急医療センターで女性たちは自殺「未遂」で助けられて、そして、NHKの番組でも取り上げられて、社会的保護のメッセージが発せられる。クローズアップ現代のこの番組は、男がいくら自殺しようが、女性の自殺「未遂」のほうが遥かに問題だというメッセージを発していた。この番組のように、女性より大変な男性の自殺問題を無視してきたことが、自殺問題に対する軽視につながって、女性の自殺問題も軽く見られることの問題点をクローズアップ現代は全く分かっていない。

もっと大変な底の男性の自殺問題を改善しないと、女性の自殺問題も改善するわけがない。「男がこれだけ死んでいるから女はまだ楽している」という負の連鎖のメッセージの温床を作っているのが、このNHKのクローズアップ現代のような番組だ。ある社会問題を取り上げて本当に改善したいのなら、最も大変な人たちから救い上げないとその問題は改善されない。その意味で、自殺問題で無視してはいけないのは性的指向が同性に向く同性愛者で、中でも、同性愛者の男性たちだ。

自殺の男女比は男性のほうがかなり高い上に、同性愛者たちはさらに自殺しやすい。「助けてと言えなくて~女性たちに何が~」ではなく、「助けてと言えなくて~男性同性愛者たちに何が~」という番組が、自殺問題での深刻度を優先した番組だろう。それなのに、男性よりも自殺率が低く自殺問題での深刻度が低い多数派の女性の自殺こそ深刻だとするクローズアップ現代は、反動のバックラッシュ番組ではないのか。NHKスペシャルでの佐村河内守の件でも嘘八百を垂れ流し、やらせもするクローズアップ現代。

ドキュメンタリーの看板番組で低劣な番組を垂れ流すNHKが公共放送として受信料を徴収するなど、全く納得がいかない。将来的に人工知能が冷静に番組を報道するようになった時に、NHKのドキュメンタリー番組の質の低さを見ると、NHKには存在意義がなくなるのは間違いない。将来の人工知能ならば、自殺問題で深刻なのは、自殺率がかなり高い男性であって、女性ではないという統計の基本を抑えた番組を作るだろう。クローズアップ現代の今回の番組は、統計を無視して少年犯罪は凶悪化したと言っているのと同じレベルだ。

反省の女性学とはに、当サイトの反省の女性学の趣旨を書いています。

2015年11月掲載



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