痴漢冤罪と痴漢でっち上げ

痴漢ねつ造、「被害者役」自首で発覚 容疑の大学生逮捕

http://www.asahi.com/national/update/0311/OSK200803110101.html

痴漢ねつ造、「被害者役」自首で発覚 容疑の大学生逮捕

2008年03月11日20時32分

 知人女性とうその痴漢被害をでっち上げたとして、大阪府警阿倍野署は11日、甲南大学4回生の蒔田(まきた)文幸容疑者(24)=京都市山科区=を虚偽告訴容疑で逮捕した。無関係の会社員が府迷惑防止条例違反容疑で逮捕されたが、後になって被害者役の女性が「示談金ほしさにうそをついた」と自首し、事件が発覚した。

 調べでは、蒔田容疑者は2月1日、大阪市営地下鉄御堂筋線の車内で、男性会社員(58)の腕をつかんで取り押さえ、「痴漢した」と、同署員に虚偽の申告をした疑い。この際被害者役の知人女性(31)が泣き崩れる演技をしたという。

 会社員は当初から否認し、同署が逮捕翌日の2月2日に釈放し任意で調べていたところ、女性が同月7日に自首。「金が必要だから協力しろと蒔田容疑者に持ちかけられた」と話したという。同署は女性も虚偽告訴容疑で書類送検する方針。

痴漢でっち上げ被害者心境語る 大阪の会社員 - MSN産経ニュース

http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080313/crm0803132057033-n1.htm

2008.3.13 20:57

暗い留置場で、男手一つで育てた結婚前の娘たちが頭に浮かび、「犯罪者にされたら迷惑がかかるな」と一睡もできなかった。

この事件は痴漢冤罪事件ではなく、痴漢でっち上げ事件だ。痴漢冤罪事件には、実際に痴漢に合った被害者がいて、痴漢の加害者がいる。痴漢でっち上げ事件の場合には、そもそも、加害者の痴漢がいない

痴漢加害者がいる痴漢冤罪事件と、痴漢加害者がいない痴漢でっち上げ事件は全くの別なものだ。痴漢でっち上げ事件は実際に痴漢をした男がいないのだから、その事件に関して「痴漢をした男が悪い」という論理は通らない。

痴漢冤罪事件で必ずと言っていいほどに「痴漢冤罪が起きるのは痴漢をする男がいるから」などのことが言われる。その痴漢冤罪の論理を痴漢の加害男がいない痴漢でっち上げ事件でさえ押し通す者たちは、冤罪とでっち上げの区別が付いていない。痴漢が仮に世の中からいなくなったとしても、痴漢加害者がいない痴漢でっち上げ事件は起きる。

痴漢でっち上げ事件には痴漢加害者がいないので、例えば、放火事件での冤罪とは違う。放火の冤罪事件は、実際に放火した加害者がいたから家などが燃えたわけだ。実際に放火の被害にあった被害者もいる。痴漢でっち上げ事件は、実際の痴漢加害者も実際の痴漢被害者もいないもので、悪質なでっち上げ加害者がいる痴漢被害者なき事件であって、冤罪事件より構造的に悪質で酷いものだから、冤罪事件よりもでっち上げ事件が批判されるのは当然だ。

この痴漢冤罪と痴漢でっち上げの構造的な違いは、新聞各社は認識しているのかもしれない。

中日新聞:大学生、痴漢でっち上げ 示談金目的か、容疑で逮捕:社会(CHUNICHI Web)

http://www.chunichi.co.jp/s/article/2008031190203009.html

交際女と組んで痴漢でっち上げ 大学生を逮捕 示談金目的か - MSN産経ニュース

http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080311/crm0803112308038-n1.htm

交際の女と痴漢被害でっち上げ…虚偽告訴容疑で大学生逮捕 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080311-OYT1T00670.htm

痴漢でっち上げ、女は泣き崩れる演技も - 社会ニュース : nikkansports.com

http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20080311-334288.html

『中日新聞』、『産経新聞』、『日刊スポーツ新聞』は、「痴漢でっち上げ」と書いている。『読売新聞』は「痴漢被害でっち上げ」と書いている。『朝日新聞』は「痴漢ねつ造」と書いている。これらの新聞社は、ただ単に記事中にそういう記述をしているのではなく、「痴漢でっち上げ」、「痴漢被害でっち上げ」、「痴漢ねつ造」を記事の題名にまではっきりと明記している。新聞各社は、「痴漢冤罪とは違う痴漢でっち上げである」という認識をした上で、「痴漢冤罪よりも悪質な痴漢でっち上げ」という問題意識を持って記事を書いたのかもしれないことが、記事名に明らかにあらわれている。

痴漢加害者がいる痴漢冤罪ではなく、痴漢加害者なき悪質な痴漢でっち上げであるという認識を新聞各社はしているように見える。痴漢でっち上げ事件で「痴漢男が悪い」などと言って批判の矛先をすり替えて、痴漢をでっちあげられた人に対する二次的加害行為をしている者たちとは、全く次元が違う記事を新聞各社は書いている。二次的加害行為をしている者たちは、新聞各社の記事を何度も読んで猛省したらどうか。

こういう新聞記事を読むと、新聞の「公平中立」さというものは、まだあるのではないのかと思われてくる。ネット上の言論は痴漢冤罪でも極端に揺れていて、痴漢でっち上げ事件という実際の痴漢加害者も実際の痴漢被害者もいない事件でも、「男が痴漢をしたから起きたこと」などと的外れなことを平然と何度も繰り返して、それで自己満足して終わるというお粗末さだ。

結局こういうネット言論は、痴漢問題のことを何も考えていないわけで、上記の新聞記事の題名に見える「公平中立」さに比べれば、ネット言論はどうしようもないものばかりが山積している。

「痴漢でっち上げ事件は、大阪の御堂筋線の件で明らかになっただけで他にはない」という者も、痴漢問題を考える気がない者だ。一つの事件が明らかになったその先には、暗数が間違いなく存在する。全ての痴漢でっち上げ事件の実数が出ているわけではないのは、当たり前のことだ。

「大阪の御堂筋線では主犯が男だから、痴漢でっち上げ事件は男が主犯だ」と単純化する者も、痴漢問題を考える気がない者だ。ただ単に、男が主犯の痴漢でっち上げ事件が、明らかになったというだけのことだ。今回の大阪の御堂筋線での痴漢でっち上げ事件は、男が主犯だからこそ明らかになったとも言える。女だけが主犯で、男に頼らない完全な痴漢でっち上げ事件を主犯の女が起こした場合はどうなるのかなど、痴漢問題を考えるならそこまで考えないといけない。

痴漢の3つの分類:痴漢がいなくても痴漢事件は起きる

反省の女性学とはに、当サイトの反省の女性学の趣旨を書いています。

2008年3月掲載



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